私教育新聞120号【私教育最前線】小林 尚氏「教育のバランス：生徒の成長と将来への影響を考える」

　近年の教育界では、生徒の個々のニーズや能力に合わせた教育が重視され、それに伴い塾も多様化しています。その一方で、生徒を怒らない、極端に優しい塾や指導法も見られるようになりました。
　そこで今回は、過度な甘やかしや厳しさの欠如は、将来的にどのような影響を与える可能性があるか考えてみたいと思います。

家庭の教育価値観と学習環境への影響

　生徒の機嫌を損ねることのないよう、過度に優しく甘やかすような背景には、ご家庭の考えも影響していることがあります。実際に、保護者からの要望で叱らないように指導するケースも増えており、「怒られるとやる気がなくなる」という保護者の懸念から、一部の塾ではそういった要望に応えるように努めています。ただし、これは高校生など一定の自己管理能力がある生徒には適用できるかもしれませんが、小学生や中学生には必ずしも適切ではありません。なぜなら、小中学生はまだ自分の学習ペースを理解しておらず、発達段階にあるため、より総合的なサポートが必要だからです。
　例えば難関大学に合格するためには、単なる優しい褒め言葉だけでなく、適切な指導、厳しい基準、効果的な学習戦略などが必要です。褒めることは、生徒の自己肯定感や学習意欲を高める一助となりますが、それだけでは……

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