私教育新聞120号【私教育最前線】森 弘達氏　私学こそ探究を学びの中心に⑨「探究で地域課題に取り組む～地域探究と教育旅行3.0を通じた探究的な学び～」

　日本は、高齢化と人口減少の中で地方創生が大きな課題となっています。私は、地域で未来共創人材を育てることが地方創生の鍵であり、探究で地域課題に取り組むことがその機会となると考え、実践してきました。今回は、探究で地域課題に取り組む意義、地域探究の先進的な取り組み、教育旅行を通じた探究的な学びである「教育旅行3.0」の事例としての「SAGA探究」について述べます

地域探究の先進的な取り組み「沖縄探究」

　総合的な探究の時間の探究課題の一つとして、学習指導要領において、地域や学校の特色に応じた課題すなわち地域課題が示されています。地域課題とは、「町づくり、伝統文化、地域経済、防災、都市計画、観光など、各地域や各学校に固有な諸課題のこと」です。これらの特色に応じた課題は、「よりよい郷土の創造に関わって生じる地域ならではの課題であり、生徒が地域における自己の在り方生き方との関わりで考え、よりよい解決に向けて地域社会で行動していくこと」が望まれています。また、これらの課題についても「正解や答えが一つに定まっているものではなく、既存の各教科・科目等の枠組みでは必ずしも適切に扱うことができない」とされています。さらに、生徒にとっては、「自分自身の取組が地域や社会を変え、社会に参画・貢献していることを実感できる課題」でもあります。こうした課題を「総合的な探究の時間の探究課題として取り上げ、その解決を通して具体的な資質・能力を育成していくことには大きな意義」があります。

探究力評価への挑戦

　25年以上前、高等学校で総合的な学習の時間が実施される前から昭和薬科大学附属高等学校で探究を先進的に実践しました。内容は、沖縄問題という地域課題について、生徒一人ひとりが自ら……

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