【私教育新聞第129号】学びの場としての新時代の大学|安永卓生氏「高等教育機関としての大学と『学び増し』」

2025.10.22(水)

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【学びの場としての新時代の大学】
安永卓生氏「高等教育機関としての大学と『学び増し』」

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 失われた30年と大学
 私が学生時代を過ごした1980年代後半、社会は「24時間戦えますか」の熱気に包まれていた。そして今、この変化の激しいVUCAの時代において、「学ぶ」ことの必要性がより一層増していると感じる。そこで、今回の寄稿のなかでは、合言葉を少し変えて考えてみたい̶̶「24時間、学び増せますか」と。大学教員となってからの三十余年は、いわゆる「失われた30年」と重なる。何が失われ、何を守り、何を生み出せたのか。時代の責任を国家や景気循環だけに押しつけるのはたやすいが、むしろ、学生を社会に送り出してきた当事者として、大学という制度と運用を“学びの循環”という観点から組み替える必要があったのではないか̶̶そこから本稿を始めたい。


大学のミッション
テクノロジーの観点では、日本発の成果は依然として少なくない。半導体製造装置、車の基幹技術、iPS細胞、スマートフォン関連部材、新規材料など、世界を支える要素は数え上げればきりがない。一方で、企業の中央研究所の縮減や研究開発の外部化が進み、大学には従来の共同研究にとどまらず、研究シーズを社会実装へと橋渡しする“役割の拡張”が求められている。
 2006年に改訂された教育基本法第七条は、大学を「学術の中心」と位置づけ、「高い教養と専門的能力」を培い(学び)、「真理を探究して新たな知見を創造」した(研究)上で、その成果を広く社会に提供して発展に寄与する(提供)ことを規定した。さらに「大学の自主性・自律性」の尊重も明記された。人と知の創造・提供、そして自治̶̶この三語こそが、日本における大学の法的基盤である。
 さらに、筆者が所属する国立大学においては、この30年の間に国立大学法人化がなされた。国立大学法人法は、大学教育・学術研究に対する国民の要請に応えること、そして……

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